日本の五大調味料『さしすせそ』はご存知でしょうか?
さ:砂糖、し:塩、す:お酢、せ:醤油、そ:味噌
和食の味付けの順番を覚えやすくする語呂合わせで、この順番で味付けをすると料理が美味しくなると言われているのは有名です。
その中でも、醤油と味噌は日本の風土で採れた原料を使って発酵させた独自の調味料です。
そのため日本人には馴染みやすい調味料として、伝統的に使われてきました。
現代においては、それらの調味料もスーパーなどで簡単に安く手に入り、「買うもの」として認識されていることも多いのではないでしょうか。
しかしこの五大調味料の中でも、味噌は比較的簡単に自宅で作ることができるのはご存知でしょうか?
もちろん、購入するよりも多少の手間隙はかかりますが、手をかけた分、出来上がった味噌を食べる時はとても美味しい!
今回は、そんな味噌を自宅で手作りする方法をご紹介したいと思います。
Page Contents
味噌作りの大まかな流れ
味噌を作るには、基本的に2日かかります。
大豆に水を十分に含ませる必要があり、水に一晩漬ける必要があるからです。
1日目:大豆を洗ってつけ置き
2日目:大豆を煮て潰す→塩と麹を混ぜ、大豆と混ぜ合わせる→容器に詰める
大まかな流れはこんな感じです。
味噌作りには時間に余裕を持って取り掛かりましょう。
準備するもの
≪出来高およそ3kgの場合≫
大豆:650g
麹:1kg
塩:375g
味噌の作り方
では早速味噌作りの工程を見ていきます。
1日目①|大豆をきれいに洗う
大豆を水で擦り合わせるように洗います。
きれいに見えていても、案外汚れています。
水を4、5回入れ替えて洗うと、水がだんだんときれいになってきます。
1日目②|大豆を水につけ置きする
大豆の重さの約3倍の水量で一晩つけ置きします。
この時、大豆は水をたくさん吸い込み大きく膨らみます。
つけ置きする容器は大豆の量の倍の大きさのものを使用すると安心です。
大量の水と時間をかけて、しっかり大豆の芯まで水分を染み込ませます。
水につけ置くと想像以上に吸水し大豆が大きく膨らむため、つけ置きの間は途中で大豆の様子を確かめ、水が足りなくなっていたら継ぎ足すことをお勧めします。
2日目①|つけ置きした大豆に芯が残っていないか確認する
大豆の芯まで吸水されていないと、煮上げの仕上がり具合にムラが出てしまいます。
大豆を半分に割ってみて、芯が残っていないか確認します。
芯が残っている場合は、さらに水を足して追加でつけ置き時間を増やします。
2日目②|大豆を煮る
大豆を煮る時は圧力鍋か大鍋を使います。
つけ置きした水を入れ替えて、大豆がひたひたになる程度の新しい水を加えて火にかけます。
●◯圧力鍋の場合◯●
圧力鍋に蓋をして強火で火にかけ、圧力がかかったら5分間弱火にかけます。その後火を消し、圧が抜けるまで待ちます。
※圧力鍋には容量に限界があるので、出来高が多い場合は数回に分けて煮上ます。また、圧力鍋の性能には角メーカーによって異なるため、取扱説明書にしたがって使用してください。
●◯大鍋の場合◯●
沸騰するまで強火にかけ、沸騰したら弱火で2時間程度煮込みます。灰汁を取りながら、水が減ってきたら継ぎ足します。
煮上げ具合の目安は、大豆が親指と小指でぐにゅっと潰れるくらいの固さです。
2日目③|大豆を潰す
ここが一番の難関かもしれません。
体力勝負です。
大豆が温かいうちに潰します。
袋に入れて瓶で叩いたり、お子様がいる場合は遊びながら踏み潰してもらったり…
フードプロセッサーやマッシャー、すり鉢、、、
大豆が潰れればいいんです。頑張って潰してください。
煮上げた時に大豆の皮が出てきた場合は、それも一緒に潰しちゃってOKです。
2日目④|塩と麹を混ぜ合わせる
塩と麹を手で擦り合わせるように混ぜ合わせます。
2日目⑤|塩きり麹に大豆を混ぜ合わせる
冷ました大豆と塩きり麹をしっかりと混ぜ合わせます。
熱いうちに塩きり麹と混ぜ合わせてしまうと、麹菌が死んでしまうので注意です。
混ぜ合わせる時は、十分に大きな容器を使いましょう。
写真は、出来高6kgに対して容器が小さく、大豆を混ぜ合わせる時にだいぶ苦労しました…
塩きり麹となかなか混ざり合わないし、容器からポロポロ落としてしまうし。
2日目⑥|混ぜ合わせた大豆を保存容器に詰める
いよいよ大詰めです。
保存容器はカビや雑菌繁殖予防のためにアルコール消毒や煮沸消毒をします。
塩きり麹と大豆を混ぜ合わせたものを保存容器に詰め込んでいきます。
保存容器に詰め込む時には、大豆を団子状に丸めた味噌玉を押し込むように詰めていきます。
隙間があって空気が入り込んだまま発酵過程に進むと、カビの原因となってしまいます。
隙間がないようにしっかり押し込んで詰めましょう。
2日目⑦|蓋をする
前述したように、空気に触れたまま発酵させるとカビの原因になるため、詰め込んだ大豆の上に蓋をします。
蓋をする方法はいくつかあって、自分でやりやすい方法を選ぶといいです。
ねりワサビをラップの上に塗って(ワサビが殺菌効果となりカビの繁殖を抑えます)落とし蓋にする方法や、酒粕を敷き詰める方法などがあります。
私は粘土のように隙間なくしっかり貼り付いてくれそうな酒粕をいつも使っています。
スーパーなどで手に入ります。
2日目⑧|発酵させる
あとは常温でゆっくり寝かせて味噌ができあがるのを待ちます。
約10ヶ月から1年程度ゆっくり時間をかけて発酵させます。
しかしこちら沖縄、基本的には年中暖かいので、一番寒い時期の2月に仕込んでも3ヶ月ほどで出来上がります。
2月に仕込んだ場合、5月頃に一度開けて様子を見て、味噌のような色になっていれば完成です。
それ以上に長く発酵させてしまうと、食べれなくなるわけではありませんがとても黒い味噌に仕上がります。
好みの色合いになったら、これ以上発酵が進まないように冷蔵庫に入れて保管します。
カビが生えてしまった場合は、その部分だけ取り除いてしまえば問題ありません。
味噌作りを始める時期
味噌作りは寒仕込みがいいと聞いたことはありませんか?
基本的には年中仕込む事ができるのですが、1年の中で一番寒い1月から2月にかけて仕込む方が良いと言われています。
それは、寒いこの季節は空気中の雑菌が少なく、これから暖かくなっていく季節に向けて、ゆっくりゆっくり発酵熟成させる事ができ、そしてまた気温が下がり始める秋頃においしくなって完成するからです。
また、前年の秋に収穫した新鮮なお米と大豆で仕込む事ができることから、伝統的に冬の寒い時期に仕込みが行われてきたのです。
麹歩合とは?
麹歩合とは、大豆と麹の割合のことです。
例えば大豆1kgと麹1kgで味噌を作った場合、10割(100%)となります。
味噌の甘口辛口は、塩分量と麹歩合で決まります。
塩分量が同じであれば、麹の割合が高いとお米の甘味が強くなり、割合が低いと大豆の旨味が強くなります。
麹の種類
味噌は、麹の違いによって4種類に分けられます。
米味噌:大豆に米麹を加えて作った味噌
クセが少なく馴染みやすいため、料理の幅が広がります。
麦味噌:大豆に麦麹を加えて作った味噌
米味噌に比べて塩分が少なく麹歩合が高いので、麦の甘味と香りが強いのが特徴的です。
豆味噌:大豆に豆麹を加えた味噌で、原料は大豆のみ
甘味が少なく色も黒っぽいのが特徴で、熱に強く煮込み料理などで使っても香りが落ちる事がありません。
合わせ味噌:2種類以上の味噌を組み合わせた味噌
合わせた味噌のそれぞれの特徴をいいとこ取りしてその美味しさを引き立てています。
味噌を手作りするメリット
市販の味噌で使われている大豆には外国産も多く、農薬使用の大豆や遺伝子組み換えの大豆が使用されていることもしばしば。
しかし手作りをする場合は、こだわって材料を選ぶ事ができるので安心して食べる事ができます。
また、自分で作った味噌は本当に美味しい!
多少手間がかかっても、手作りする価値は十分にあります!
まとめ
手作り味噌というと、難しそうなイメージがあるかもしれませんが、家庭で作れないほど難しいものではありません。
たしかに手間はまぁまぁかかりますが、それだけの価値はあります。
材料を自分で選べるので、安心安全を食べる事ができます。
そして、自分の手でこねて出来上がった味噌は、本当に美味しい。
聞いたところによると、自分の手でこねる事でMy常在菌が一緒に混ざり込み、自分の体に合った味噌が出来上がるのだとか。
味噌の仕上がりは十人十色、みんな自分で作った味噌が美味しいと思うのも、そういった理由もあるのかもしれません。
味噌を手作りしてみたいなと思っている方は、ぜひ材料からこだわって作ってみてはいかがでしょうか?